通信障害とセミ

通信障害の原因はクマゼミである。
嘘のような、本当の話。

 

クマゼミとは、日本特産の比較的大型のセミで西日本に多く生息する。
彼らが活発に活動するのは夏の時期で、7月下旬から8月上旬の間が最も元気なのだとか。
2005,2006年と共に、西日本では1000件に近い断線被害が報告されているが
この断線の犯人こそ、クマゼミなのだ。

 

どのようにして断線させるのかというと、それは産卵にある。
クマゼミは産卵の時、産卵管と呼ばれる器官を木の皮に突き刺し産卵をする。
通常セミは枯れ枝に産卵をするのだが
どういう訳か電線の光ファイバー線(屋外用として被覆されている)を枯れ枝と勘違いし、産卵管を突き刺してしまうのだ。
突き刺された事で、中の光ファイバーに傷がついたり、突き刺した穴から雨水等が入り込み損傷させたりといった事が発生する。
小型のセミならこうはならないのだが、大型のクマゼミだからこその被害だ。
特に、電柱から家に向かうケーブルでの被害が多かったらしい。

流石に、対策せず というわけにはいかない。
ケーブル内部にカバーを付けてみたりと試行錯誤の末、最終的には被覆を分厚くすることで
産卵管を突き刺されにくい・突き刺されても産卵されても障害を発生させにくいケーブルが作られた(作業する側にも嬉しい開発だったそうだ)
こうして、2006年からセミ対策がされたケーブルが使われるようになって、被害が食い止められるようになった。

 

夏が終わり、蝉の声も止みつつある。
電柱からのびる黒い線たちを見上げる時があったら「すごいなオマエタチ」と称えてあげてもいいかもしれない(?)